【葉っぱ根】自由水をイオン処理し…肥料の有効活用で抗酸化力の高い野菜作り土作り

根から…水素イオン(H⁺)を放出する。

その結果、土壌中の水素イオン(H⁺)濃度が増加し、土壌コロイドに吸着され酸性化する。


 
イオン交換反応


作物は、いろいろな元素を養分として吸収しています。

肥料などの養分元素を土壌に施すと、化合物は水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれます。

作物は、主にイオンのかたちで養分元素を吸収します。

結晶性粘土鉱物(粘土など)は、マイナスに帯電しており、表面に土壌溶液中の陽イオンを電気的に引きつけて保持する機能があります。


CEC(陽イオン交換容量)



陽イオンを交換・保持する能力を「CEC」という言葉で表します。

粘土鉱物の種類(土質)によってマイナス電荷の強さに差があり、CECはことなります。

土壌に粘土鉱物や腐植物質が多くなると、陽イオンを交換保持できる量 (保肥力)が増し作物栄養であるアンモニウム, カリウム, カルシウム, マグネシウムなどの陽イオンが、降雨で土壌から流されるのを防ぐ能力が高くなります。

このためCECの高い土壌を地力の高い土壌と言います。

ハウスなど、EC(塩類濃度)を下げるために、ゼオライトを投入する場合がありますが、CECの大きな腐植物質(堆肥)を投入したもECは下がります。

堆肥は、地力を増大するだけではなく、微生物性も改善してくれるのです。

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土の粒子の表面のカルシウムやマグネシウム等のアルカリ性の陽イオンである塩基類を溶かし、結合(CaSO₄:硫酸カルシウム)して地下に流れていく。

EC(電気伝導度)

ECは『電気伝導率』ともいい、水に溶けた塩類の総量を表した数値で、土壌の陽イオン交換容量の範囲で肥料が施されていれば、施した肥料はイオンとして土壌に吸着されて、作物の吸収に応じて土壌溶液の中に溶け出してきます。

しかし、土壌の陽イオン交換容量を超えた…多量の肥料を施用すれば、極端な場合は…土壌溶液の浸透圧が根の浸透圧よりも高くなって、根から水分が土壌溶液中に吸い取られ、植物は…脱水状態になって枯死することもあり、この事を濃度障害といいます。



土壌溶液中のイオン量


pH
pHは酸性、アルカリ性の数値で示す指標です。

土壌溶液中に含まれる「水素イオン」濃度の指標であり、水素イオン濃度が濃いものを酸性、薄いものをアルカリ性と呼びます。

電気伝導度と施肥


電気伝導度は、土を水に溶かした液に微弱な電流を流すと、イオン濃度が高いほど電流がよく流れるので、電流の測定値をイオンの総量の指標にします。

単位はS・m-1(ジーメンス・パー・メーター)であらわされます。

作物によって適正EC値が異なりますが、0.1~0.8の間なら健康に育ちます。

0.5以上なら肥料を減らし、1.0を超えたらMイーシーで除塩が必要となります。

◆イオン価数の種類により、吸着の強さが異なる

土壌酸性化の原因となる水素イオン(H⁺)は、土壌にかなりくっつきやすいので、カルシュウムイオン(Ca²⁺)等の養分を追い出して、徐々に酸性化が進行する事になる。

農作物にとって、有用な陽イオンを持った肥料成分を『塩基』といい、負荷電の土壌コロイドに吸着される現象を『塩基の吸着』という。

農作物に有用な陽イオンを捕まえる土壌の自由水

土壌に、農作物の栄養となりえる陽イオンが増えたとしても、それらが農作物に吸収される前に、降雨で流されては意味がない。

土の中では、どのようにして陽イオンが保持されているのだろうか?

その役割を果たしているのが『土壌の自由水』である。

雨水は、土壌の塩基分…カルシウム, マグネシウムなどのアルカリ分が…流亡しやすく、土を酸性させ…同時に養分が少ない状態にしていく。

土の粒子表面(土壌コロイド)の塩基類が抜けて、空いた椅子には水素イオン(H⁺)が座る。
塩基の空席には、水素イオンが着席する鉄則

土壌中には、粘土鉱物と腐植が結びついてできた土壌コロイドという粒子が存在する。

負電荷の粘土鉱物が、正電荷の無機栄養を引き付け(吸着する)

腐植も負電荷で、無機栄養を引き付ける(吸着する)

粘土鉱物や腐植に、無機栄養が一時的に吸着, 保持されるメカニズムが働く。

このメカニズムのおかげで、降雨による無機栄養の流出が抑えられ、

農作物が必要とする以上の量を施肥しても土壌の中で蓄えられ、

後でその蓄えの中から無機栄養を少しずつ根から吸収できるのである。

粒子表面近くの水分子の一部は、イオン-多極子結合によってカウンター陽オンと結合し、残余は粘土粒子表面の酸素原子もしくはOH基と水素結合を形成する。

この水素結合の共有結合性は、粘土粒子のもつ荷電に起因する電場の存在によって強められ、準結晶が形成され るというのである。

粘土粒子表面から75~100A内にある水分子は、通常の水の結晶とも異なる網目構造-準結晶-を形成していると主張している。

すなわち、粒子表面近くの水分子の一部は、イオン-多極子結合によってカウンター陽イオンと結合し、残余は粘土粒子表面の酸素原子もしくはOH基と水素結合を形成する。

この水素結合の共有結合性は、粘土粒子のもつ荷電に起因する電場の存在によって強められ、準結晶が形成されるというのである。



水素とは、元素記号をH⁺と表示しすが、分子の状態であるH²〔水素ガス〕です。

とても不安定な状態にあるH(水素分子)は、より安定状態であるH²になろうとします。

実は、H²の状態であっても『水素』は活性力が強く、より他の物質と結合し「安定」を求めます。

その最たる形が、O(酸素)と結合した、H²O(水)です。

普通じゃない自由水規則正しい水、乱れた水

水…じつは、2種類の異なる構造をもった液体(どちらも水ですが)が混ざったもの。

そして、たった3つの原子からできているのにも関わらず、複雑な構造をしている水だからこそ「他の単純な液体にはない自由度」があることにも驚きです。水分の存在状態により、大きく自由水と結合水に分けられます。

自由水とは、食品内の分子、粒子が自由に動き回ることができる水で、凍結, 気化, 蒸発あるいは食品内の物質を溶解することができます。

微生物が増殖に利用できるのは、この自由水です。

一方、結合水は、食品内のある成分と水素結合で結びつき、分子, 粒子の運動が抑制されています。

そのため結合水は、凍結, 気化, 蒸発が難しく、微生物増殖には利用されません。

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生体や土壌中の水で、構造中に引き付けられている水を結合水というのに対し、引き付けられていない、自由に移動できるものを自由水といっている。

生体内では一般に、自由水が多いと、生理的変化は活発になる。

土壌水分を、ある程度以上に保っておけば、樹体の水分状態を適正に維持できるわけではありません。

樹体の水分状態は、基本的に吸水を担っている細根と、蒸散を行う葉や果実による水収支によって決まります。

つまり、土壌の水分状態が同じでも、樹体に取り込まれる水が多いときには樹体内水分量は上昇し、失われる水が多いときには樹体内水分量は減少します。

この ため、樹体の水分状態は、生育状況や人為的に行われるせん定などの枝梢管理, 摘花, 摘果などの着果, 結実管理、タコツボ処理などの土壌改良による断根などにより変化します。

また、吸水や蒸散などの生理活性に影響を与える温湿度(地温), 日射量, 風速 , 二酸化炭素濃度など、環境の変動にともなっても変化します。

そこで、樹体の水分状態 を高品質果実生産に適した状態に保つためには、土壌の水分状態とともに樹体の水分状態を考えた水管理と樹体管理を行う必要があります。



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葉の水ポテンシャルが、緩やかに低下してくると、内部に気泡が発生する導管が増加して、水で満たされた導管数が減少します (水で満たされ導管がなくなる)

そこで、かん水すると、急速に葉の水ポテンシャルは回復し、葉の水ポテンシャルの回復から約10分程度後になって、気泡が発生した導管が再び水で急速に満たされていきます(水で満たされ導管が増えてくる)

このように、時間差はあるものの、葉の水ポテンシャルと水で満たされた導管の数には、対応関係が見られることから、水で満たされた導管数に相当する値を測定することにより枝の水分状態(通水性)を知ることができると考えられます。

植物である果樹には、水を運ぶための導管が、根から葉までつながっています。

水を輸送するために、大きな力が必要なため、葉から水が大気中に容易に失われるのを防ぎます。

果実の細胞が肥大してくると、つぶされて機能を失うことが知られています。

代表的な果実のカルシウム欠乏症は、カルシウムが根から吸収された後ほとんど転流しないため、導管の機能 が低下するまでに果実に十分な量が供給されないとき、果実の成熟期に不足して発症 します。

土壌から樹体、大気への水の流れ

水の自由エネルギーを表すPa(パスカル)という圧力単位で示され、 一般に土壌で-0.03MPa、樹体で-0.3MPa、大気で-30MPa程度を目安にすることができ ます。

果実でも、導管が主要な水の通路であるときは、圧ポテンシャルが水の動きに大きな影響を与 えていると考えられます。

水の通路が、導管から師管や細胞間隙に変わると、溶質を多く溶かした師管内の水の浸透ポテンシャルや狭い果肉細胞間隙のマトリックポテンシャルが、枝から果実への水の動きに大きな影響を与える考えられます。

近年、細胞間隙と細胞内との間の水の通路として、細胞膜にアクアポリンという蛋白質でできた小さな穴があることがわかりました。

この穴は、動植物の細胞に存在し、1 日の間に合成, 分解され水の動きに主要な役割を果たしているため、分子生物学的な解析が進められています。

高品質の安定生産に、樹体, 土壌の水管理

葉の表面にワックス層にクチクラ層で覆われた葉は、 気孔以外の部分からの水の損失を抑えていますが、その中には細かな溝があり、葉面散布した養水分が吸収される通路になっています。

収穫までのかん水管理は、果実品質を左右する代謝水が重要である。

水ストレス付与による増糖は、ストレス程度が強い程効果は高いが、果実の酸高化, 小玉化, 落葉による樹勢低下等の弊害をもたらす。

このため、極端な水ストレス付与は避け、適度な水ストレスを収穫まで維持することが有効である。

抗酸化力の高い…高品質果実を連年生産する技術として…樹体内の水分状態は、土壌の水分状態が同じでも、温度/湿度, 日射量, 風速, 二酸化炭素濃度など、様々な栽培環境条件により変化します。

簡易, 省力的に高品質連年生産性を可能とすることを目指し、効率性をできる限り損なわずに、生物間相互作用を高度に活用することである。

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