太陰 太陽暦 モーメント(月と太陽のチカラ)

植物の吸水構造と移動構成

根からの吸収と転流について

植物の多くは、
根, 茎(幹や枝を含む), 葉の3つの部分からできています。

植物はもともと海の中で生活を長い間して、単細胞か多細胞で糸状あるいは葉状をしている。

細胞は水で満たされて、高等植物の重量は約80~90%を水が占めている。

植物は少しでも水分量が減少すると、生命活動を維持することが困難となり、植物は萎れ枯れてしまう。

根から吸収された養水分は、道管を通り周囲の組織を潤しながら梢まで運ばれます。

この水を上昇させる原動力として、根圧,毛細管現象,凝集力と、葉の気孔で行われる水の蒸発(蒸散と呼ぶ)が挙げられます。

  1. 根の細胞は、吸収された養水分の根圧力が高まって、道管内の養水分を上に押し上げます。
  2. 養水分の表面張力によって、管の細いほど水は上昇します。
  3. 毛細管である道管内は、水の凝集力(静電的な力)が大きいため、大木でも水が上昇します。
  4. 葉で蒸散が行われ、水分が空中に発散されると、その水を補うために上へと引き上げられる。

植物の光合成は、太陽の光エネルギーを使って、 二酸化炭素と水の2種類で無機物から有機物の糖 (炭水化物と酸素)が合成される。

この糖が、根から吸収した無機養分と結合して、さまざまな物質が作られ、植物の生育の基本となります。

このように、養水分が無機物や有機物を載せて(溶かして)内皮細胞を巡っています。

根で吸収された養水分は導管に入り、
根圧で少しは押し上げられます。

毛細管現象だけでも導管の中の水は、上部の葉まで連続して到達しますが、成長に対しては、毛細管現象だけで水の凝集力は、大木でも根から頂上まで水を連続した水柱とすることができます。

昼間は、葉の気孔の蒸散作用で、水を絶えず引き上げる力が働くため、水は導管内を上昇し続けます。

「水の凝集力説」は、証明されたものでなく「推論」でしかなかったのです。

1995年に、アメリカの2つの研究グループが実際に導管内の圧力を測定し、マイナス5からマイナス35気圧になっていることを示して、凝集力説は証明されたと思われました。

この値は、数十メートル以上の樹木の水上昇を説明するためには十分ではなく、別の力が関係しているとの意見もあります。

導管内に、気泡ができたり消えたりする現象も観察され、水の凝集力説だけでは完全に解明された課題とは言えないのが現状です。

酸素は分子量32で、水分子より大きいのに気体です。

水の分子は、棒磁石のようにプラス極とマイナス極に分かれていて、1つの水分子のプラス極と別の水分子のマイナス極とが引き合い、分子間に強い静電的引力が働いています。

この水分子が静電的に引き合う力が凝集力で、導管のような毛細管内では、200気圧位の力があるとされています。

月や太陽からの引力 ⇒ モーメント
(地表に起潮力が働き、海には干満が生じる)

地球に及ぼす太陽の引力は、中緯度地方において地面を30cm程持ち上げ、海面は約1m上昇させるスケールです。

新月と満月の時期(太陽,地球,月が同一に並ぶ)は、太陽から受ける起潮力が最大になるので、満潮時の海面は一層上昇(大潮)し、地球にはより大きなチカラが働きます。

多くの優秀な農業生産者が、旧暦(月齢)を利用して農作業を行っています。

満月時には生殖成長、新月時には栄養成長と言うのが定説です。
その根拠は、月と太陽による引力が、水の吸上げに影響を与える考え方。

引力(重力の強弱)よる生理現象について

新月時には「月と太陽の引力」
満月時には「月のみ(重力は地球と太陽)」

そのため、オーキシンの極性移動にも影響し、新月時には頂芽で濃く根端では薄い。

満月時には逆に、頂芽で薄く根端で濃い。
茎部で重力に、敏感なPINタンパク質等が、存在するのではないか。

月の引力の影響を受ける可能性のある植物の活動や成長、葉の上下運動, 樹木の幹の太さ, 樹木の幹の含水量、根の伸長率などの周期的な変化と月の引力の変動との関連性が議論されています。

”植物の重力応答を研究されている、藤井伸治先生 の見解”
(東北大学大学院生命科学研究科)

① 重力の感受

でんぷん粒に富むため比重が高く、細胞内で沈降する色素体(アミロプラスト)が、重力を感じる細胞 (重力感受細胞) の下側に沈降することにより、植物は重力方向を感じると考えています。

地上部では、胚軸や茎が重力感受細胞で、皮層や最内層の細胞が内皮細胞です。

根では、先端にあるコルメラ細胞になります。

根が地中方向に、茎が上部方向に伸長する「重力屈性」や、宇宙での無重力栽培実験で証明されているように、植物は重力に強い影響を受けて生長し、重力のある環境でしか生長できないことが分かっています。

植物ホルモンのオーキシンや細胞内のアミロプラストが、重力感受のメカニズムに深く関わっている。

② 重力シグナルの伝達
(オーキシンの偏差分布の形成)

植物ホルモンのオーキシンを細胞内から細胞外に排出するオーキシン排出キャリアPINタンパク質が、重力を感じる細胞(重力感受細胞)での重力応答に、重要な役割を果たしています。

重力刺激が与えられていない状態では、PINタンパク質は重力感受細胞の周囲の細胞膜に均等に分布しています。

植物体を横倒して重力刺激を与えると、PINタンパク質は、重力感受細胞の下側の細胞膜に移動し、細胞の下側に向かって多くのオーキシンを排出します。

つまり、根, 茎ともに、横倒して重力刺激を与えると、上側に比べて下側でオーキシンが多くなります。

シロイヌナズナの根のコルメラ細胞では、PIN3タンパク質とPIN7タンパク質が重力刺激に応答して、局在を変化することが、シロイヌナズナの胚軸の内皮細胞では、PIN3タンパク質が重力刺激に応答して、局在を変化することが示されています。

③ オーキシン濃度に応答した
細胞の伸長器官の上下に偏って
分布したオーキシンは、
植物器官の不均等な成長を誘導します。

根と地上部(胚軸,茎では、細胞の伸長のための至適オーキシン濃度が異なり、地上部(胚軸,茎) で伸長生長を促進するオーキシンの濃度では、根では伸長成長を阻害すると考えられています。

その結果、根では下側により多く蓄積したオーキシンが、細胞の伸長を抑制することで、根を下側に屈曲させ茎では下側により多く蓄積したオーキシンが、細胞伸長を促進することで、茎を上側に屈曲させると説明されています。

オーキシンの方向性を持った輸送(極性輸送)は、狭義では、茎の先(頂端側)から根元(基部側)へのオーキシンの輸送を指します。

このオーキシンの極性輸送は、植物の維管束で発現しているPINタンパク質(シロイヌナズナではPIN1タンパク質)が、細胞の基部側(茎全体での根元側)に局在して、オーキシンを一方向に輸送しています。

この狭義のオーキシンの極性輸送は、茎の重力に対する向きによって影響を受けないと考えられています。

一方、重力の有無によって、オーキシン極性輸送は影響を受けることが、大阪府大の上田純一先生と宮本健助先生のグループが行った宇宙実験で明らかにされています。
(Ueda et al. 1999)

以上のように、地球の重力に応答して植物のオーキシンの輸送が変わり、組織特異的にオーキシンの濃度を制御する現象が知られています。

月の動きが植物生長に作用し、植物の生理機能や生長に働いていることは明らかです。

太陰太陽暦(月齢と潮汐)で、周期的に潅水(液肥投入)生長調整剤の施用で、窒素コントロールを行う栽培法です。

効率的な栽培管理によって、 無駄を省き,歩留まりよく、高品質に多収穫を目指す目的としています。

植物の諸機能

代謝生理学,栄養生理学,水分生理学,成長(生長)生理学、運動生理学などに分かれる。

生理学の分野はその対象によって、人体生理学,動物生理学,植物生理学,細菌生理学などと呼ぶ。

植物の生育/生態における月齢と潮汐の影響力

新月に栄養生長、満月に生殖生長

硝酸過剰で、ジベレリン活性が強いと栄養生長傾向になり、硝酸がうまく同化されサイトカイニン活性が強いと生殖生長傾向になることは、これまでも紹介してきました。

一般的にトマト,キュウリ,ピーマン,ナスなど長期にわたり栽培する作物は栄養生長と生殖生長の周期があります。

これまで多くの作物を測定する中で、新月の頃に栄養生長傾向に、満月の頃に生殖生長傾向になることがわかってきました。

新月の頃に糖度計を使って生長点に近い葉の糖度と最下葉の糖度を比較すると、その差が開き気味になり、花の糖度も低い傾向です。

硝酸イオンメーターで測定すると高めの硝酸値を示し、栄養生長傾向であることがわかります。

逆に満月の頃は、生長点と最下葉の糖度差が縮まり、花の糖度は高めになります。

硝酸イオンは低めの値を示し、生殖生長傾向なのがわかります。

潮汐のチカラが影響(干潮~満潮)

新月の大潮/中潮/小潮/長潮若潮/中潮から
満月の大潮/中潮/小潮/長潮若潮/中潮 へ

新月と満月でなぜこう変わるのでしょうか? 

月の引力が潮の満ち引きや生命に影響を与えているのは事実です。
月や太陽の引力により、潮汐を引き起こすチカラのことを「潮汐力」といいます。

地球から見て、新月は月が太陽側に位置し、潮汐力は大きく、満月は太陽の反対側になり、潮汐力は新月より若干弱くなるため、植物の生長にも影響しているようです。

例えば、重力に関係するホルモンとしてオーキシンがあります。

植物が重力に対して反対方向に伸びるのも、根が重力方向に伸びるのも、オーキシン濃度によります。

この性質を重力屈性と呼びます。

科学的に解明されているわけではありませんが、新月のときはオーキシンやジベレリンの活性が高まり細胞を大きく長く伸ばす方向に働いて栄養生長傾向になり、満月のときにはサイトカイニン活性が高まり細胞分裂を促進し、花芽分化や着果促進方向に働いて生殖生長傾向になるのかもしれません。

新月の闇夜と満月の光も影響しているかもしれません。

まだ未解明な部分が多いですが、月の影響は大きいといえます。

月のリズムを栽培に生かす単肥の葉面散布。
新月にミネラル、満月前はチッソも⁉

新月の頃は、栄養生長傾向になるので、硝酸過剰になりやすくなります。

そこで硝酸を同化させるための、葉面散布を新月の前に行ないます。

また、リン酸, カリ, ミネラル類を追肥や葉面散布で効かせて生殖生長の方向へ矯正します。

硝酸過剰でエチレン活性が弱くなり、病気になりやすくなっているので、農薬(ボルドー)の散布によりエチレン活性を高める方法もあります。

満月の頃は、生殖生長傾向で、花が多くなり、生長点の生育が弱く、芯どまりになることもあるので、満月の前には、ミネラル以外にチッソも追肥や葉面散布を行なうと収穫の波ができにくくなります。

農業を営む人達はいつの時代にも、いかに作物の収量を増加させ、品質の良いものをつくり出すかに心を砕いてきた。

長い農業の歴史には、多くの栽培上の経験則が見出され、ノウハウとして引き継がれてきた。

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